日本環境感染学会誌
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原著論文
全国の訪問看護師の血液・体液曝露の実態と今後の課題
渋谷 智恵
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2012 年 27 巻 6 号 p. 380-388

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抄録

  HBV, HCV, HIVは,体液に曝露することで感染する可能性のある主な感染性の病原体である.本研究は,訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師の血液・体液曝露発生の実態とその感染対策の実施状況を全国規模で明らかにすることを目的とした.
  全国の訪問看護師319名から自記式質問紙調査に協力が得られた(回収率31.9%).訪問看護師になってから針刺しを少なくとも1回は経験した看護師の割合は35.7%,粘膜曝露は36.4%だった.また直近1年間に針刺しを経験した訪問看護師は5.0%,粘膜曝露は27.3%だった.直近1年間では,粘膜曝露は針刺しの約5.5倍発生していた.血液・体液曝露の発生を職場に報告していない看護師の割合は,針刺し23.0%,粘膜曝露75.7%だった.粘膜曝露は針刺しの約3.3倍報告されていなかった.本調査により初めて,全国訪問看護師の血液・体液曝露の発生や報告状況が明らかになった.また今後取り組むべき課題として,訪問看護師への教育,針刺し危険行為の禁止,個人防護具の活用,B型肝炎予防接種の指導とマニュアル整備の必要性が考えられた.

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© 2012 一般社団法人 日本環境感染学会
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