日本環境感染学会誌
報告
当院におけるantimicrobial stewardship programの取り組み—多職種連携による抗MRSA薬適正使用の推進—
栃倉 尚広中馬 真幸今井 徹菊池 憲和小林 広和伊藤 美和子下口 和雄矢越 美智子矢内 充
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30 巻 (2015) 1 号 p. 56-62

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抄録

  Antimicrobial stewardship program (ASP)の一環として,当院では2006年から医師,薬剤師,微生物検査技師,看護師など多職種から構成された「抗methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA)薬適正使用カンファレンス」を定期的に開催し,使用状況の評価,フィードバックを行っている.抗MRSA薬が投与された全症例を対象に,診療録や細菌検査結果から「抗MRSA薬の投与が必要な感染症」,「その可能性が高い」,「臨床的に投与が必要」,「発熱性好中球減少症」を適正使用とした.培養検体未提出で「評価不能」や定着や汚染菌と考えられ「投与不要」と判定された場合には主治医に使用目的を確認し,必要に応じて介入を行った.ASPの効果の指標として抗MRSA薬の使用動向,薬剤感受性動向を調査した.積極的な介入の結果,抗MRSA薬使用患者数は年間420~476名の間を,抗MRSA薬のantimicrobial usage densityは12.9~16.5を増減している結果であり,著明な変化はみられなかったが,評価結果については「適正使用」と判断される症例は2006年と2012年を比較すると65.3%から82.3%に増加(p<0.01),de-escalation実施率も33%から85%に増加した(p<0.01).また,MRSAに対するvancomycin, teicoplanin, arbekacin, linezolidの感受性率は良好に維持されていた.多職種連携によるカンファレンスを行いその評価をフィードバックすることは適正使用の推進をもたらすと考えられた.

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© 2015 一般社団法人 日本環境感染学会
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