日本環境感染学会誌
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当院における職員へのB型肝炎ワクチン接種の変遷
石田 紀代美濱口 良彦眞継 賢一上田 浩貴有島 友美坂口 健治永井 謙一
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2015 年 30 巻 2 号 p. 135-139

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抄録

  当院では1999年から抗体の有無に限らず全職員対象のHBs抗原・抗体価測定と陰性者へのワクチン接種を実施してきた.2011年からは感染管理チーム(ICT)が環境感染学会のワクチンガイドラインに基づいたB型肝炎ワクチンプログラムを作成し,検査とワクチン接種を実施している.これら方法の変更によるワクチン接種完遂率と経費削減効果を後方視的に検討した.今回のワクチンプログラムの対象は2010年度のHBs抗原・抗体陰性職員と2011年度の新規採用者で,抗体価の測定を実施した238名中の抗体陰性者は118名であった.抗体陰性118名中48名(40.7%)がHBワクチン3回接種を完遂し,48名中36名(75%)は抗体が陽性化したが,10名(20.8%)は陰性のままで,2名は離職などのため接種後の抗体検査は実施されなかった.在職者においては前年度HBs抗原・抗体陰性者に限り検査を実施したこと,およびワクチン接種対象者から過去の抗体陽性者を除外した結果,検査対象者減少により約49万円,ワクチン接種者の減少から約25万円,合わせて約74万円のコスト削減を達成しえた.2010年度以前の事務局によるワクチン接種の管理ではワクチン接種の追跡はなく,ICTが一元管理することによってワクチン接種の効果が正確に把握された.ICTによる一元管理はワクチン接種必要者の選択,追跡を可能とし,ワクチン接種率の向上にも繋がると考える.

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© 2015 一般社団法人 日本環境感染学会
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