日本環境感染学会誌
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銀増幅技術を応用したイムノクロマト法による高感度インフルエンザ迅速診断システムの特性とその運用法についての検討
梅田 由佳中積 泰人瀬野 晶子
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2016 年 31 巻 3 号 p. 181-186

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抄録

 銀増幅技術を応用した,高感度インフルエンザ迅速診断システムの効率的な運用法の確立を目的に検討した.対象患者629例から採取した同一の検体にて,従来のイムノクロマト法を利用したインフルエンザ迅速診断キット(用手法)と高感度インフルエンザ迅速診断システム(Auto法)を用いて検査を実施し,その検査結果と臨床学的因子との関係を調査した.
 成人において,用手法・Auto法とも陽性の群(ともに陽性群)にしめるAuto法のみ陽性の群の割合は,発熱後 6 時間未満では26.5%(9/34),発熱後6時間以降では9.1%(5/55)と,前者で有意に高かった(p<0.01).小児では発熱後経過時間と検査結果に関係性は認められなかった.両キットともに陰性442例に対して,ともに陽性162例で有意差があった因子は,検査時高体温,頭痛・頭重感,咳嗽,鼻水,関節痛・筋肉痛の5項目であった.Auto法のみ陽性25例においては,有意な因子はなかった.ともに陽性群において,Auto法のみ陽性群に対して有意であったのは検査時高体温のみであった.
 Auto法での検査実施が診療上有用と考えられたのは,発熱後6時間未満,小児,高熱を伴わない場合であった.また入院患者,職員に対してAuto法を用いることは,インフルエンザ流行期の院内感染対策において非常に有用であると考えられた.

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© 2016 一般社団法人 日本環境感染学会
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