日本環境感染学会誌
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手術時手指消毒における速乾性手指消毒剤の消毒効果の比較検討
中村 忠之西條 美恵田口 実里丸茂 健治柳川 容子
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2016 年 31 巻 4 号 p. 235-240

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抄録

 我々は,1.0 w/v%および0.5 w/v%クロルヘキシジングルコン酸塩エタノール液(1.0%および0.5%CHG–AL)における即時効果および持続効果を,0.2 w/v%ベンザルコニウム塩化物エタノール液(0.2%BAC–AL)を対照として,看護師41名を対象にグローブジュース法(一部改変)にて比較検討した.1.0%CHG–AL群における消毒直後と消毒3時間後の細菌数は,0.2%BAC–AL群に比べて有意に減少し即時効果と持続効果は統計学的に優れていた.CHG–AL群の両濃度よる消毒後に検出された主な細菌はBacillus属およびコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)であった.CHG–AL群の両濃度を比較すると,CNS生残菌数は1.0%CHG–AL群で1/170~1/219, 0.5%CHG–AL群では1/513と有意に減少し,Bacillus属は1.0%CHG–AL群で1/7~1/11に有意に減少したが,0.5%CHG–AL群では減少しなかった.CHG–AL群の両濃度の消毒直後と消毒3時間後で,全分離細菌数,CNS菌数は指数減少が有意に認められCHG–ALが強い持続効果を有することを示した.以上の結果から,1.0%CHG–AL群の消毒効果はBacillus属の除菌効果を考慮すると0.5%CHG–AL群より優れていると考えられた.

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© 2016 一般社団法人 日本環境感染学会
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