2016 年 31 巻 5 号 p. 326-334
今回,我々は感染防止対策加算連携施設間における抗菌薬使用量サーベイランスをantimicrobial use density (AUD)とdays of therapy (DOT)を用いて行い,緑膿菌の耐性率推移とともにサーベイランス結果の評価を行った.AUD, DOT各々に着目して2012年と2014年を比較すると,当院の第1世代セフェム系,第3世代セフェム系,第4世代セフェム系,カルバペネム系,アミノグリコシド系,グリコペプチド系,脳卒中センターのペニシリン系,抗緑膿菌ペニシリン系,カルバペネム系でDOTの変化がAUDの変化と比較して大きく変化していた.この結果から,施設間の抗菌薬使用量サーベイランスをAUDとともにDOTを用いて行うことで,各施設におけるAUDの変化が使用量と使用期間のどちらが大きく影響したか判断することが可能となり,各施設の各系統抗菌薬において使用量の適正化,使用期間の適正化といった課題をより明確にすることが可能になると考えられた.各系統抗菌薬の使用量,使用期間と緑膿菌耐性率の推移では,両施設ともに使用量,使用期間の推移と緑膿菌耐性率の推移に関連は見られず,抗菌薬の使用量と使用期間の推移のみが緑膿菌の耐性率の推移に与える影響は大きくないことが示唆された.