感染症治療の質の向上を目的とした適切な血液培養検査実施のため,2011年よりinfection control team(ICT)が中心となって,複数セット採取推奨活動を行ってきた.今回,推奨活動の前後で血液培養検査がどのように変化したか検証を行った.その結果,推奨活動の前後で,血液培養の依頼件数は2.2倍,1,000 patient-daysあたり採取セット数は2.4倍,成人における複数セット採取率は活動前の2.7%から92.2%に著増した.また成人患者の培養陽性率は21.7%から13.5%に低下した.1セットのみ陽性となった場合は,起炎菌と判断したものが72.0%,汚染菌と判断したものが16.8%,鑑別困難としたものが11.2%であった.汚染率は2012年から2014年まで各々0.93%, 0.75%, 0.80%であった.検出微生物はEscherichia coliをはじめとする腸内細菌属の検出頻度が上昇し,Coagulase-negative staphylococci(CNS)の検出頻度が低下した.これら血液培養検査の大きな変化は,ICT,リンクナース委員会による積極的な推奨活動により,現場に血液培養検査の重要性が認知されてきたことによるものと思われる.また,各血液培養精度管理指標の継続的な算出は,適切な血液培養検査実施状況の正確な把握,感染症治療のために不可欠である.