日本環境感染学会誌
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報告
尿取り扱い時の衛生管理の見直しをきっかけとした蓄尿指示の適正化
野田 洋子飯沼 由嗣薄田 大輔多賀 允俊新町 美雪前多 一美前野 聡子
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2017 年 32 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

尿道留置カテーテルの不適切な管理や自動尿測定器の汚染による抗菌薬耐性菌のアウトブレイクが報告されており,尿取り扱い時の衛生管理とともに蓄尿や尿量測定の適正化の必要性が強調されている.当院においては,尿取り扱いに関して統一したマニュアルや手順が無く,2012年感染対策チーム(ICT)メンバーを含む多職種で構成されるワーキンググループを組織し,活動を開始した.病室内トイレ付属の自動尿測定器を全面使用禁止とし,プラスチック製採尿容器の廃止と使い捨ての紙製採尿コップを新たに採用した.また,職員による尿取り扱い方法,蓄尿・尿量測定の適用の厳格化などを盛り込んだ「尿量測定マニュアル」を作成し,周知徹底を行った.その結果,総尿量測定件数,蓄尿件数は2013年にはそれぞれ43%,69%減少し,蓄尿率は42.9%から23.2%へと有意な減少が見られた(p<0.001).また,マニュアル導入後の職員および患者からの意見は肯定的なものであった.今後もこの活動を継続的に行い,さらなる尿取り扱いの適正化に取り組んでいく予定である.

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© 2017 一般社団法人 日本環境感染学会
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