日本環境感染学会誌
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報告
高齢者施設および在宅医療ケアにおける尿道留置カテーテルの取扱の現状と課題
盛次 浩司齋藤 信也
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2017 年 32 巻 1 号 p. 34-41

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抄録

非急性期ケアにおける尿道留置カテーテルの取り扱いの現状を把握するとともに,そこでのカテーテル関連尿路感染症(Catheter-associated Urinary Tract Infections:CAUTI)予防のあり方を探るためアンケート調査をおこなった.A県下の訪問看護ステーション(訪看)106施設,特別養護老人ホーム(特養)146施設,介護老人保健施設(老健)77施設,療養型病床(療養病床)130施設を対象とし,カテーテル取り扱いの現状,CDCの「カテーテル関連尿路感染の予防のためのガイドライン2009」にみられる各インディケーターの遵守状況について調査した.有効回答数は175(38.1%)であり,カテーテルの使用率は訪看10.5%,特養3.5%,老健3.8%,療養病床24.6%であった.カテーテル使用理由については,訪看では,医学的理由以外の「介護者の負担軽減」,「尿失禁ケア」の理由も多くみられた.療養病床では,「褥創治療」,「尿閉・神経因性膀胱」,「終末期ケア」の順であった.ガイドラインの遵守状況は施設類型間に差はみられなかったが,閉鎖式セットといった感染対策に役立つとされる材料の選択では,その必要性と使用比率との間に乖離がみられた.今後は,非急性期ケアの実情に適したカテーテルの材質やセット内容の改善,また,感染予防教育などを含んだ総合的な対策が必要と考えられた.

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© 2017 一般社団法人 日本環境感染学会
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