日本環境感染学会誌
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原著
中心ライン関連血流感染症に伴う医療費を含めた現状
目黒 英二山根 のぞみ山本 亜希子加地 正英
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2018 年 33 巻 6 号 p. 269-275

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抄録

中心ライン関連血流感染(以下CLABSI)は日常的に観察される感染症であり患者の苦痛ならびに医療経済においても問題になる.2013年1月~2015年12月までの3年間に当院入院中で臨床的CLABSIと判定した278例を対象とした.CLABSIが発生すると追加医療費が発生するが,その追加治療(抗菌薬,解熱剤,検査,入院費など)を1例ずつ検討した.またカテーテル(以下カテ)先端培養検出菌,カテのルーメン数による感染症発生頻度も検討した.CVC穿刺から感染発症までの平均日数は20.1日,追加入院日数は平均7.4日であった.278全例での追加総医療費は4,993.3万円であり1例平均17.9万円であった.先端培養検出菌は黄色ブドウ球菌35.0%,CNS 32.5%,ルーメン数はシングル,ダブル,トリプルの順で感染率が高かった.また仮説としてCLABSI発症前にPICCに入れ替えることを検討すると3年で約2000万円の経済効果も予想された.CLABSIの増加は入院期間の増加や医療費の増加を招く.予防が重要であり,カテ留置の適応を十分考慮し不要なカテは留置せずに早期抜去する.関連する医療スタッフにCLABSIの予防,感染対策に関しての教育も必要である.CLABSIは「カテを抜けば治る」という医療者の安易な考えもあるが,CLABSIは重症化すると致命傷にもなり得る病態である.

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© 2018 一般社団法人 日本環境感染学会
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