日本環境感染学会誌
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特別養護老人ホームに勤務する3職種職員のノロウイルス感染症対策の学習状況および課題
王 迪川上 和美工藤 綾子岩渕 和久
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2020 年 35 巻 4 号 p. 168-174

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抄録

本研究は,特別養護老人ホーム(以下,特養)におけるノロウイルス(以下,NV)感染症対策への取り組み,看護・介護に関わる3職種職員のNV感染症対策の学習状況・実施状況を明らかにし,課題を検討することを目的とした.日本全国の特養から無作為に抽出した235施設に勤務する看護師・介護福祉士・介護福祉士以外の介護職員(以下,介護職員)の計705名を対象に,2018年6月~8月に自記式質問紙調査を行い,368名(52.2%)の回答を分析対象とした.NV感染症対策知識の入手方法は施設内研修(85.3%),施設外研修(53.8%),インターネット(46.5%)の順であった.「NV感染症対策の受講経験あり」が84.8%であり,受講内容は,嘔吐物・排泄物の処理方法(84.2%),NV感染症の基礎知識(83.4%),手指衛生の方法(78.5%),個人防護具の使用・着脱方法(64.7%),環境消毒の方法(53.3%),入所者・面会者への感染症予防教育(37.2%)であった.受講内容と施設で実施しているNV感染症対策の把握状況は介護職員が看護師,介護福祉士に比べ有意に低く,3職種間の学習状況の差が見られた.また,全体では,NV感染症対策の受講内容などにばらつきがみられ,施設間のNV感染症対策教育に差がある可能性が示唆された.特養におけるNV感染症対策学習支援が課題となった.

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© 2020 一般社団法人 日本環境感染学会
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