1997 年 12 巻 3 号 p. 206-210
特別養護老人ホーム内でのMRSAの生息状況の実態把握を目的として入所者の保菌状況を1994~95年にわたって調査した.検出されたMRSAのgenotypingはパルスフィールドゲル電気泳動法 (PFGE) を用い, 相似係数に基づくRFLP解析を試みた.同時に生物学的性状と薬剤感受性パターンによるphenotypingを行った.その結果, 保菌率は94年18.2%, 95年13.3%であった.Genotypeからは保菌者の動向と関連する特定型の伝播や消褪, 外来株の侵入等, 菌の伝播経路に関する情報が得られた.またphenotypeからは将来の除菌の可否の予測に役立つ情報が期待された.両者を組み合わせることによってより有用な疫学的情報が得られるものと考えられた.