環境感染
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医療従事者の鼻腔内MRSA保菌に関する検討
職制別の保菌状況とムピロシン軟膏による除菌効果
重松 聡前田 康典前田 貴美子田中 修一青山 重靖
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1998 年 13 巻 4 号 p. 238-244

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抄録

医療従事者はそれぞれの立場で病院感染対策に積極的に参加し, それを怠ることはできない.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) は, 易感染患者 (compromised host) において感染を生じる危険性が高い.MRSA感染制御には手洗いあるいは手指消毒, 環境の汚染対策などの基本的な対策に並行して, 患者および医療従事者の保菌者対策が重要とされている.そこで全職員を対象に講習会を開き, さらに対策を充実させるため, また保菌率の把握のために鼻腔内MRSA検査を実施した.全体の保菌率は1回目23.7% (52/219名), 2回目13.5% (28/209名) であった.職制別では看護スタッフの保菌率がもっとも高く1回目37.6% (41/109名), 2回目26.8% (26/97名) であった.また, スタッフに対しムピロシン軟膏による鼻腔除菌を2回実施し, 1回目は102CFU/plate以上, 2回目は30CFU/plate以上MRSAが検出された者を対象とした.追跡調査をした結果, 1回目および2回目の使用ともに約100%の除菌率を示し, 除菌効果は約1ヵ月間持続することを確認した.

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© 日本環境感染学会
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