環境感染
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新潟県立病院の抗生物質使用動向 ('91-'96)
MRSA感染症治療薬に注目して
大羽 美津子布施 克也
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キーワード: 抗生物質, 病院感染対策
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1999 年 14 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

一般病院における感染症治療の動向を知るために, 新潟県立15病院 (4093床, 年間外来患者約272万人) の薬剤使用統計, 患者統計をもとに, 1991年度から1996年度の注射および経口用抗生抗菌剤使用状況を調べ, またMRSA感染症のみに使用される特定治療薬剤である注射用バンコマイシンおよびアルベカシンの使用を指標にしてMRSA感染症治療の現状について解析した.注射剤は年間50から60万バイアル使用されていたが, 5年間で約10%使用量が減少しており, 特にペニシリン系薬剤, 第三世代セフェム系薬剤が減少し, 一方カルバペネム系薬剤の増加が目立った. 内服薬は年間約500万錠使用されており, 使用量は5年間で約8%減少していた. 新しい使用法が確立されたマクロライド系薬剤が増加しており, ペニシリン系薬剤の減少が目立ち, その他の系統の薬剤も漸減していた. MRSA全身感染症に対する治療は5年間で2439例に行われており, 各年の薬剤使用量はほぼ不変であったが年間治療件数はやや増加傾向であった. 解析期間の全入院患者に対するMRSA感染症治療症例の割合は約1%, 全死亡退院患者に対する割合は約8.5%であった. また, 同解析期間中の悪性疾患患者の約5%, 脳血管疾患者の約2.8%にMRSA感染症治療薬剤が使用されていた.

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