環境感染
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末梢静脈カテーテル管理サーベイランスの試み
長浜 りか遠藤 和郎
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1999 年 14 巻 3 号 p. 192-195

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抄録

臨床現場において末梢静脈カテーテル (以下, 末梢カテ) の使用頻度は高く, 時に静脈炎や菌血症などの血管カテーテル関連感染の原因となる.これを防ぐために適切な血管カテーテル管理を遵守する必要がある.
末梢カテの適正な管理方法として, 定期的に刺し換えを行い下肢への挿入を極力避けるように心がけてきた・対策の施行状況を調査するために, 末梢カテの固定テープへの挿入日の記載の有無, 留置期間, 挿入部位について調査した.1) 挿入日の記載状況は調査開始当初の1994年前半は68.0%であったが, 1997年には97.4%に改善した.2) 4日間以上末梢カテが留置されていたのは小児科病棟 (22.5%), 小児科・内科混合病棟 (15.5%) に多く, 循環器内科, 神経内科, 一般外科病棟では少なかった.3) 下肢から末梢カテが挿入されていたのは小児科 (14.1%), 小児科・内科混合 (9.4%), 神経内科病棟 (13.5%) に多くみられた.
サーベイランスの継続, 結果のフィードバック, そして適切なカテーテル管理を指導することで管理状況の改善がみられた.今回, 我々の行ったサーベイランスは実際の菌血症発生率を求めるものではないが, 日常の管理方法を改善することにより, 最終的には血管カテーテル関連感染を減少させるのに寄与すると信じている.

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