環境感染
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治療シミュレーションを用いた抗菌薬感受性情報作成の検討
石塚 紀元人見 重美木村 哲
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1999 年 14 巻 3 号 p. 205-211

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抄録

感染症を抗菌薬で治療する場合, 最初に使用する薬剤選択のための情報と, 効果が得られなかった場合に選択する薬剤に関する情報が重要である.これらの情報を数値として抗菌薬感受性検査結果から算出する方法を検討したところ, 最初のものとしては患者に占める感性菌検出者率, 次のものとしては感性菌検出者に占める非感性菌検出者率が相当するものと考えられた.
これらの数値を1997年の当院入院患者検出Pseudomonas aeruginosa感受性検査結果より集計したところ, 感性菌検出者率はAMK 95%, CAZ 92%, CPZ 91%, GM 93%, IPM 93%, PIPC 98%, LVFX89%と一様に高い数値が得られたが, 感性菌検出者に占める非感性菌検出者率はAMK9%, CAZ 25%, CPZ 26%, GM 12%, IPM 20%, PIPC 10%, LVFX 20%と薬剤により差が見られた.データを患者の検査件数で分けて調べたところ, 感性菌検出者率は患者の検査件数の多少による差は見られなかったが, 感性菌検出者に占める非感性菌検出者率は全ての薬剤で検査件数が多い患者ほど高くなる傾向が見られた.また診療科別の数値では科によって感性菌検出者率, 感性菌検出者に占める非感性菌検出者率共に差が見られ診療科別の情報の作成も必要であることが示された.

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