環境感染
Online ISSN : 1884-2429
Print ISSN : 0918-3337
ISSN-L : 0918-3337
当院における2段階法でのツベルクリン反応について
職種, 年齢別の結果とブースター現象の解析
河野 麻紀西園 憲郎木谷 光博河野 龍之助
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 16 巻 2 号 p. 169-174

詳細
抄録

平成11年2月から5月の間に, 全職員を対象にして2段階法でのツベルクリン反応 (以下2段階ツ反) を実施し, 職種別, 年齢別に, 最終反応径, BCG接種の既往, ブースター現象について検討した.
2段階ツ反を実施した479名の職種の内訳は, 医療職92名, 看護職271名, 事務職116名である.結果は, 全体での最終反応の発赤径は36.3±19.7mmであり, 硬結径は13.9±10.0mmであった.最終判定の分布, 最終反応径の検討では, 職種間では有意な差は認められなかった.年齢間では, 30歳以下と31歳以上を比較すると, 最終反応径の発赤径と硬結径, 1回目と2回目の反応径の差の発赤径で有意な差が認められた.BCG接種の既往については, 419人 (医療職77名, 看護職239名, 事務職103名) から回答を得た.全体でBCG接種の既往がある者は366名 (77%), 既往のない者もしくは不明の者は53名 (23%) であった.BCG接種の既往では, 若年者でBCG接種の既往のない者が多かった.
これらのことより, 若年者に対する結核菌の感染対策が重要であると考えられた. また, 全職員の約32%にブースター現象が見られ, 2段階ツ反を実施することが重要であると考えられた.ツベルクリン反応検査では, 結核感染の確定診断ができないため, 胸部X線写真撮影などの検査を正確に行なう必要があるが, 個人レベルの感染対策として, 2段階ツ反の最大反応径を知っておくことは重要である.

著者関連情報
© 日本環境感染学会
前の記事 次の記事
feedback
Top