2001 年 16 巻 4 号 p. 267-269
泌尿器科領域のopensurgery症例において, 術前の鼻腔, 尿培養の結果と創部感染 (SSI) の関連を検討した. 手術直前に経鼻胃管を挿入した54例を対象とした. 細菌検査としては, 経鼻胃管挿入直前に鼻腔培養を, 入院時に尿培養を提出した. これらの細菌検査の結果と創部感染の関連を検討した. 腸管を用いた尿路変向・再建を行わない腸管非利用群ではSSIの頻度は4.7%と腸管を用いた尿路変向・再建を行う根治的膀胱摘除術を行う腸管利用群での54.5%と比較して低く, 術前の培養結果とSSIの関連は認めなかった. 腸管利用群では, SSIの原因はいずれもMRSAであり, 術前の鼻腔からの分離と関連を認めたのは1例のみであった. したがって, 鼻腔培養は, 泌尿器科領域のopen surgeryの術前検査としては必須ではないと考えられた.