環境感染
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病院職員に対するインフルエンザワクチンの予防効果
諏佐 理津子布施 克也石沢 真幸中俣 正子塚田 弘樹下条 文武
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2001 年 16 巻 4 号 p. 303-308

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抄録

病院職員がインフルエンザに罹患した場合, 個人の健康被害だけではなく多方面に様々な影響を及ぼす. 今回我々は病院職員に対するインフルエンザワクチンの有効性, および適切な接種回数を実際に評価するため, 1999年12月~2000年3月, 十日町病院に勤務する全職員362名をワクチンを接種しない群 (V0群) 166名, ワクチンを1回接種する群 (V1群) 112名, 2回接種する群 (V2群) 84名の3群に分けて, 前向きな検討を行った. 感冒罹患率は有意差をみなかったが, インフルエンザ様疾患 (以下ILI) にはV0群11名, V1群3名, V2群1名が罹患し, 接種群の方が未接種群より有意に罹患率が低かった (p<0.05). 感冒・ILIのための延べ欠勤日数は, それぞれ100名当たりV0群29.5日, V1群19.6日, V2群14.3日で, 接種群の方が未接種群より有意に短かった (p<0.05). 38℃以上の延べ発熱日数は, 100名当たりVO群38.0日, V1群26.8日, V2群19.0日で, 接種群の方が有意に短かった (p<0.05). いずれの項目もV1, V2群間で有意差を認めなかった. 以上の結果より, 冬期間の病院職員の医療提供能力を維持するためには, インフルエンザワクチン接種は有効であり, 接種回数は1回でも十分であると考えられた.

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© 日本環境感染学会
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