環境感染
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大学病院における麻疹対策
医療従事者と学生の麻疹抗体価測定と麻疹ワクチン接種
新里 敬健山 正男比嘉 太大湾 知子佐久川 廣美上原 勝子津波 浩子齋藤 厚
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2002 年 17 巻 3 号 p. 281-284

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抄録

沖縄県では平成12年から13年にかけて麻疹の流行があり, 琉球大学医学部附属病院でも医療従事者と学生が麻疹に罹患, 肺炎を併発し入院したため, 医療従事者および学生における麻疹対策が急務となった. 594名の若年医療従事者および学生を対象に麻疹抗体価測定 (ゼラチン粒子凝集反応法) を行った結果, 陰性者は4名 (0.7%), 抗体価が16倍から128倍の低値であった者が27名 (4.5%) いた. このうちの1名を除く30名と抗体価が256倍でワクチン接種を希望した8名の計38名に対して, 麻疹ワクチン接種を施行した. 抗体価陰性あるいは低値の者は明らかなブースター効果が認められたが, 接種前の抗体価が256倍の者ではそれが認められなかった. ワクチン接種による副反応はなかった. 今回の抗体価測定とワクチン費用の合計は84万円であったが, その後は毎年新規採用者と学生の分の約40万円程度となる. 以上より, 若年の病院職員および臨床実習を行う学生に対しては麻疹抗体検査を実施し, 感受性者にはワクチン接種を勧奨すべきである.

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