環境感染
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Salmonella Enteritidisによる調理器具及び手袋の二次汚染防止対策
松岡 俊彦
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2003 年 18 巻 4 号 p. 377-381

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抄録

Salmonella Enteritidisを添加した溶き卵をボール, 攪拌器及び手袋に付着させ洗浄せずに消毒した後及び洗浄・消毒をしない場合の菌の残存性並びに菌を添加した溶き卵の72時間後までの水分活性と菌量を測定した.その結果, 80℃ の熱湯・温湯へ5分間浸漬後のボール, 攪拌器及び手袋並びに200ppm次亜塩素酸ナトリウム液へ5分間浸漬後のボールから菌は検出されなかったが, 消毒用エタノール噴霧後のボール, 攪拌器及び手袋並びに200ppm次亜塩素酸ナトリウム液へ5分間浸漬後の攪拌器及び手袋からは消毒後に菌が検出された.洗浄・消毒しない場合においては, 4.7×108cfu/mLの菌は72時間後にはボール・攪拌器ではほとんど検出されなかったが, 手袋からは依然として2.66log10検出された.また, 溶き卵の水分活性は72時間で0.98から0.42に減少したが, 菌量は5.8×106から2.5×108に増加した.これらのことから, 器具等が汚染され洗浄・消毒が不十分である場合, S.Enteritidisによる汚染が長期間続くことが考えられるので, 十分な洗浄後熱湯・温湯への浸漬消毒するなどの対策が重要であると考えられた.また, 手袋を使用して割卵等の調理行為を行う場合には, 使い捨ての手袋を使用すること, 素手で割卵又は溶き卵の調理を行う場合は, 作業終了後十分な手洗いを実施する必要があると考えられた.

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