環境感染
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胃手術に対する5年間の手術部位感染サーベイランス結果
清水 潤三福森 華子上野 敬子上山崎 みちる瀬田 友子高本 いく子安井 友佳子新見 喜洋今村 博司龍田 眞行古河 洋藤本 卓司
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2004 年 19 巻 2 号 p. 301-305

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抄録

目的: 当院では1997年より手術部位感染 (Surgical site infection: SSI) サーベイランスを実施し, SSIを減少させる努力を続けている. 5年間の結果について報告する.
方法: サーベイランス開始前の1996年10月から97年3月を第1期, サーベイランス開始後の97年10月から98年3月を第2期, 99年4月から99年9月を第3期, 2000年4月から01年3月を第4期, 02年1月から02年6月を第5期として, 胃手術についてSSI発生率の変化を検討した. 結果: 各期の移行時に, SSIを減少させるための対策を立案し実施してきた. 具体的には予防的抗生物質の術直前の投与開始, 及び術中追加投与, 術前剃毛の中止, 術中腸管操作終了後の手袋交換等を対策として行った. さらに第4期から第5期への移行期には (1) 創処置前の1) 手洗い, 2) 手袋着用,(2) 術後のドレーン管理として, 1) クリニカルパス利用による早期抜去, 2) ドレーン袋・廃液キャップの清潔保持, 3) ドレーン刺入部の密閉ドレッシングの使用, を対策として行った. 各期のSSI発生率 (%) はそれぞれ30.8, 9.7, 17.8, 18.6, 9.4であった. 第5期では最もSSIが減少した. 考察: 5年間にわたり, SSIサーベイランスを行い様々な対策を行ってきた結果, SSIは減少した. 継続してSSIサーベイランスを行うことが重要と考えられた.

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© 日本環境感染学会
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