環境感染
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抗MRSA薬の適正使用システムの構築とバンコマイシンにおける初期投与設定の有用性
鈴木 仁志貴田岡 節子
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2004 年 19 巻 3 号 p. 365-372

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抄録

当院薬剤部では抗MRSA薬使用報告書の提出を義務化し, 迅速且つ正確な薬剤適正使用に関する患者情報の収集を可能にすると伴に, バンコマイシソ (vancomycin; VCM) 投与時において, 患者への有効性, 安全性の確保を目的として, 全投与患者を対象に初期投与設定を行うTDM解析システム (VCM-TDM解析システム) を確立した.
2002年2月より薬剤の適正使用を目的として院内感染対策委員会を介し,
抗MRSA薬使用報告書を作成し提出の義務化を行った. また同年9月からはTDM依頼を兼用できる書式とし, VCM投与時に全患者について初期投与設定を行うVCM-TDM解析システムを構築し, その有用性について評価を行った. 抗MRSA薬使用報告書提出の義務化により, 患者情報およびTDM解析に必須である情報が適確に入手でき, 抗MRSA薬の適正使用が可能となった. またVCM-TDM解析システム導入後, 血中濃度測定が初回で適正濃度範囲内に入った患者の割合は87, 5%を占め, 導入前後 (Non-TDM群/TDM群) における投与終了時のCRP値陰性化率および50%陰性化率の比較ではNon-TDM群22.7%, TDM群52.6%(p<0.001, x2-test), MRSA陰性化率ではNon-TDM群31.3%, TDM群81.3% (p<0.005, x2-test) と改善が認められ, 有効率は43.5%から81.0% (p<0.01, x2-test) と向上し, その有用性が示された.

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© 日本環境感染学会
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