環境感染
Online ISSN : 1884-2429
Print ISSN : 0918-3337
ISSN-L : 0918-3337
医療施設における新規採用看護職に対する感染管理教育とその評価
掛谷 益子千田 好子
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 19 巻 3 号 p. 409-414

詳細
抄録

A総合病院の新規採用看護職 (46名) に対し, 標準予防策 (SP) に視点をおいた感染管理教育を実施した. その4-5ヵ月後, 教育効果をみるためナースの行動観察およびアンケート調査を行った. 行動観察調査 (他者評価) とアンケート調査 (自己評価) を比較した結果, 「湿性生体物質に触れる危険性がある時手袋・エプロンを使用した」の実施率は, 他者評価 (手袋使用: 5.1%, エプロン使用: 0%) より自己評価 (手袋使用: 70.5%, エプロン使用: 28.1%) が高かつた. 「使用済みの鋭利な物は専用容器へ廃棄した」は, 両評価とも98%以上と高かった. 手洗い実施率は, 注射前後, 排泄介助後などの看護場面において他者評価より自己評価が高率であった. スクラブ法による洗浄部位別手洗い実施率は, 手掌, 手背, 指間では他者評価の方が自己評価より高かつたが, 指先, 拇指, 手首は, 自己評価の方が他者評価より8-50%高率であった. このようにナースは, 自分のSP実施率を過大評価していた. スクラブ法およびラビング法による手指洗浄部位を観察したところ, 全ての部位においてラビング法よりスクラブ法による洗浄率が高く, 手背, 指先, 指間, 拇指に有意差を認めた. 新規採用ナースに対し, 感染管理の再教育をすることの必要性が明らかになった.

著者関連情報
© 日本環境感染学会
前の記事 次の記事
feedback
Top