環境感染
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小児玩具の一般細菌汚染に関する調査
小児科外来, 保育所, 家庭を対象として
法橋 尚宏池原 恵美子大森 和子
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2005 年 20 巻 2 号 p. 105-111

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抄録

子どもの玩具の細菌汚染の実態を明らかにするために, 小児科外来18ヵ所, 保育所19ヵ所, 保育所児がいる家庭21ヵ所から協力を得た. 絵本, プラスチック製人形, プラスチック製ガラガラ, ゴムボール, 積み木を対象として, スタンプ法で細菌を採取し, 一般細菌による汚染度を解析した.
その結果, 91.2% (274検体中250検体) の玩具が細菌に汚染されていた. 採取場所別に玩具の汚染度を比較すると有意差が認められ, 小児科外来にある玩具が最も汚染度が低かった. また, 玩具の素材別に汚染度を比較すると, ゴム製玩具が最も高く, 紙製玩具が最も低かった. 家庭において, 子どものオムツ使用の有無別に玩具の汚染度を比較すると, オムツを使用している家庭にある玩具のほうが有意に高かった.
以上より, ほとんどの玩具は細菌に汚染されており, 玩具が機械的ベクターとなる可能性があることを再認識する必要がある. さらに, 玩具の細菌汚染の実態に即して適切な環境整備を工夫することで, 玩具の衛生管理の向上を図ることが望まれる.

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© 日本環境感染学会
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