環境感染
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電子カルテ化に伴う医療環境設備の変化
コンピュータ用マウスの細菌学的検査結果
舛森 直哉国島 康晴高橋 聡伊藤 志織里伊藤 直樹塚本 泰司松川 雅則
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2007 年 22 巻 2 号 p. 113-117

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抄録

電子カルテの導入により医療環境内にコンピュータが新たに設置された. 多数の医療従事者が頻回に使用するコンピュータ用マウス (computer mouse: CM) の汚染状況を把握する目的で, 2006年2月1日に泌尿器科病棟に設置している16台のCMの拭い取り細菌調査を行った. 設置型コンピュータ (9台) とラップトップ型コンピュータ (7台) では異なる型のCMを使用していた. ラップトップ型コンピュータは, 投薬や点滴などの際にベッドサイドまで運搬させて使用していた.なお, 検討時点では2名のMRSA保菌者が入棟していたが, 明らかなアウトブレークは認めていなかった. 検体はCMの手掌が接する本体部分, 左クリックボタンおよび中央のスクロールボタンの3箇所より採取した. すべてのCMより何らかの細菌が検出されたが, 特にスクロールボタンから多数の菌が検出される傾向があった. 1台のラップトップ型CMのスクロールボタンより1名の保菌者と同一のMRSAが検出された. 一方, 緑膿菌は検出されなかった. 定期的な環境微生物調査は必要ないものの, CMがアウトブレーク時の間接的な感染源になりうる可能性が推測された.

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© 日本環境感染学会
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