環境感染
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当院ICTからの要請によって実施された血液培養検査に関する検討
小林 寅哲福井 康雄寺澤 優代小野 憲昭公文 登代岡崎 由紀伊藤 隆光
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2007 年 22 巻 3 号 p. 186-189

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抄録

2005年5月から2006年4月の1年間の入院患者のうち, 当院で定める血液培養実施基準である白血球数が≧12,000/μL, CRP≧1mg/dL, 体温≧37℃ のいずれかを満たした125名を対象とし, infection control teamメンバーの医師より主治医に血液培養の実施を要請した. その結果, 血液培養が実施された例は49例で, そのうち培養陽性は15例 (31%) であった.
陽性検体からの検出菌はいずれも1菌種で内訳はStaphylococcus aureus (MRSA) 4例, Escherichia coli3例, coagulase-negative Staphylococcus, Enterococcus faecalis, β-hemolytic Streptococcus, Klebsiella pneumoniae, Klebsiella oxytoca, Acinetobacter lwoffii, Clostridium perfringens, Candida glabrata各1例であった.
血液培養陽性例と陰性例での比較では, 白血球数, CRP, 体温などに大差はなく, 臨床症状に特有の傾向は見られなかったが, 基礎疾患では陽性例に糖尿病患者が多かった. また採血までの入院日数は血液培養陽性例でやや長かった.
以上の事から, 血液培養が実施されずに血流感染およびその兆候を見落とす可能性があることが明らかとなった. 院内感染対策の面からも患者状態を考慮した血液培養の実施とモニタリングが必要であると考えられた.

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