環境感染
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クロイツフェルト・ヤコブ病疑い患者の脳外科手術における感染管理について
平井 久美子中島 百合高橋 晶開道 貴信太田 勝美中川 栄二
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2007 年 22 巻 3 号 p. 190-192

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抄録

クロイツフェルト・ヤコブ病 (Creutzfeldt-Jakob disease: 以下CJDと略す) が疑れる患者の脳外科手術を行うため, 手術室環境面への安全を重視した対応を行った. 全身麻酔下で慢性硬膜下血腫除去術を行ったが, 環境面への対策として, 手術室内全面にオイフを敷き, 使用する機器・器械類にも全て血液飛散の防止対策を行った. 手術器具はディスポ製品を優先的に使用し, バイポーラーや手回しドリルなどのリユース器械は廃棄した. 術中の器械出しでは, 血液汚染区域が最小限になるように工夫した. 麻酔科医や外回り看護師は手術室内で血液飛散の可能性があるためガウンやフェイスマスク等で防護し, 術者と器械出し看護師は更に厳重な装備を行った. また手術室内の汚染区域拡大を避けるために, 行動範囲と役割分担を明確にした. 手術室の中で出たゴミは全て感染性医療廃棄物とし, 全て焼却処分とした. 手術室の清掃は, 環境面全体にオイフを敷いて汚染の防止をはかったため, 通常の消毒液での清拭とした. 今回は, 環境面への汚染防止を厳重にし, 術中の使用器材は全て廃棄したため確実な感染防止を行えたが, 今後コスト面もふまえたより安全な感染管理の対応を考慮する必要がある.

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© 日本環境感染学会
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