2015 年 28 巻 2 号 p. 258-262
【目的】当院では術前にhigh risk症例のdown stagingや前立腺体積の縮小などを目的としてneoadjuvant hormonal therapy(NHT)を施行している.今回我々はNHTを施行した腹腔鏡下前立腺全摘除術について臨床的検討を行った.
【対象・方法】2012年6月から2014年5月までの30例を対象とし,手術時間・出血量・カテーテル留置期間などについて検討した.年齢の平均はNHT施行群/未施行群で65.3/ 68.3歳,iPSAの平均は10.8/ 10.7ng/ml,術前前立腺体積の平均は24.3/ 30.6ml,NHT施行期間は平均8.27ヶ月であった.手術は全例後腹膜到達法・順行性アプローチにて行った.
【結果】手術時間は平均208.2/ 201.8分,出血量は平均573.5/ 600.4ml,カテーテル留置期間は平均5.3/ 5.9日であった.NHT施行群における病理結果は組織学的治療効果判定でGrade 0b:3例,Grade 1:3例,Grade 2:4例,Grade 3b:11例であった.またRM 1症例は2例(6.7%)であった.
【結論】high risk症例についてはNHT施行により組織学的治療効果の高い症例の割合が比較的多く,またNHT未施行群と比較して手術時間や出血量についての差は見られず,断端陽性率は低かった.