2018 年 31 巻 1 号 p. 134-139
86歳, 女性. 直腸癌にてマイルズ手術施行後のフォローアップCTで左腎上極に24mm大の腫瘍を指摘され当科を受診. 画像検査から左腎細胞癌と診断し, RAPNを施行した. 人工肛門があり, 左側の経腹膜アプローチでは視野や操作の妨げになると考えられ, 後腹膜アプローチを選択した. マイルズ手術により下行結腸が遊離され, 腹膜が開放されていたが, エアシールの使用で視野の確保が可能であった. また, 人工肛門によりポート位置に制限を受け, 通常のポート位置とは異なったarmの役割交代が必要であった. 腎上極の腫瘍はextra armを使用して腎を尾側に牽引することで良好な術野が得られ, RAPNが遂行可能であった. 人工肛門を有する患者の左側RAPNであったが, 工夫をすることでロボット支援下に完遂することができた.