Japanese Journal of Endourology
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特集1 : VURに対するPrecision Endourologyは開放手術を超えられるか
序文
河内 明宏宮北 英司
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2020 年 33 巻 1 号 p. 1

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抄録

 プレシジョン・メディシン (Precision Medicine, 日本語 : 精密医療) とは, 患者の個人レベルで最適な治療方法を分析・選択し, それを施すことである. 2015年1月20日のオバマアメリカ合衆国大統領の一般教書演説において, “Precision Medicine Initiative”が発表され, 世界的にも注目されており, プレシジョン・メディシン (Precision Medicine) と類似したものとしてPersonalized Medicine (個別化医療) がある.

 第32回日本泌尿器内視鏡学会総会のテーマは“Precision Endourologyを語る”であり, ミニシンポジウムとして「VURに対するPrecision Endourologyは開放手術を超えられるか?」という命題で, この領域の最高水準の実力を備えている先生方に発表していただき, 今回, 論文化していただいた.

 各患者に応じたオーダーメイド治療すなわち手術を, 特定することが困難であるが, 疾患にはこの治療という型にはまった治療法しかなかったものが, 昨今の内視鏡機器及びそれに伴う技術の進歩によって可能な時代になったと思われる. しかし, 精密医療 (個別化医療) を論じるには, 各演者に発表していただいた手術法を熟知し, かつ長所・短所を理解する必要があると考える. 特に, 小児泌尿器科疾患を持つ患者の長き人生を考えると, 手術法によって, またその成績によって, 各々の未来を左右することもあり得ると思われる. その意味では, 小児泌尿器科疾患に係わる我々は重大なる責任を背負っていると思われる. 各論文では, 各々の手術法に関して詳細に解説されており, 非常に勉強になり, 実臨床においても役立つものと考える. これらから, 改めてPrecision Endourologyを考え, 「VURに対するPrecision Endourologyは開放手術を超えられるか?」という命題に答えを出していかなければならないし, その答えを引き出す一助になると思う.

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© 2020 日本泌尿器内視鏡学会
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