Japanese Journal of Endourology
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特集2 : 腹腔鏡下腎盂形成術 : 適応の拡大と将来展望
ロボット支援腎盂形成術 ―市中病院における導入の経験―
黒川 覚史水野 健太郎野崎 哲史西尾 英紀戸澤 啓一安井 孝周林 祐太郎
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2021 年 34 巻 1 号 p. 49-54

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抄録

 近年, 難易度の高い腹腔鏡手術は, ロボット支援手術として次々に保険収載されている. ロボット支援手術は, 方向を選ばない切開・縫合操作などで特性を発揮される. 腹腔鏡下腎盂形成術は, 形成部を漏斗状にするデザインに合わせた切開・縫合操作が必要な難易度の高い手術である. ロボット支援手術が有用だと考えられ, 2020年4月にロボット支援腎盂形成術が保険収載された. 本稿では, 保険収載前から臨床研究として行っているロボット支援腎盂形成術について, 市中病院における経験を述べる.

 対象は, 2012年12月から2020年8月に同一術者が執刀した15例. 手術体位は側臥位から半側臥位, 患者の前面を広く開けてロボットアームが干渉しないようにした. トロカーは, ロボット用3個と5 mm助手用1個, ダヴィンチの機種は「S」6例, 「Xi」9例. 全例, 経腹膜到達, dismembered法とした. 15例のうちロボット単独で手術した群11例と腹腔鏡操作を併用したハイブリッド腎盂形成術群4例を比較した. ハイブリッド群の腹腔鏡操作は, アームが干渉しやすい結腸の脱転から腎盂尿管移行部の剥離までに用いた. ハイブリッド群ではダヴィンチ「S」の使用割合が高く, 手術時間が長い傾向にあった. 成功率には差がなく, いずれも安全に手術を行うことができた.

 ロボット支援手術で用いるダヴィンチは, 機種による違いがある. 「S/Si」のアームは, 「X/Xi」のアームに比べて幅が広く短いために干渉しやすい. 「S/Si」で広範囲に結腸の脱転が必要な際は, 腹腔鏡操作を併用するハイブリッド腎盂形成術が治療選択肢になりうると考えられた. 限られた手術件数の中で, 安全で質の良い治療が提供できるよう私たちの取り組みを紹介する.

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© 2021 日本泌尿器内視鏡学会
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