Japanese Journal of Endourology
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特集1 : ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘術 (RARC) の標準化
RARCを円滑に導入するために
古家 琢也中根 慶太飯沼 光司髙井 学加藤 大貴富岡 奨幸菱田 勢始
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2021 年 34 巻 1 号 p. 8-11

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抄録

 2012年にロボット支援前立腺全摘除術 (RARP) が保険収載となって以降, 本邦においてロボットを導入する施設が急激に増加している. 泌尿器科領域においても, ロボット支援システムを用いた術式も徐々に増えており, ロボット支援膀胱全摘除術 (RARC) をはじめ, 今後ロボット支援手術の適応は, 多領域でさらに増加するものと思われる. 一方で考えておかなければいけないことは, ロボットシステムはあくまでも手術道具の一つに過ぎないという点である. ロボット支援膀胱全摘除術は他のロボット手術に比べ手技が煩雑である点, 比較的予後不良な疾患である筋層浸潤膀胱癌に対する手術であり, また開放手術では経験しなかったような再発様式を示すこともあることから, 我々は非常に難しい手術の一つであると認識している. そのため, ロボット支援膀胱全摘除術の導入にあたってはステップ毎に確認事項を設定し, 手術室にいるスタッフ全員が今何を行っているのか, 次に何を行うのか, 何が必要なのかなど, 術中に細かく指示を出す必要がないよう, 術前に情報の共有およびミーティングを行っておく必要がある. 本稿では, ロボット支援膀胱全摘除術を安全に導入するためにはどのような準備が必要なのか, 術者側と助手側の視点に立って解説した.

 ロボット支援膀胱全摘除術のような新規手術を導入する際には, 術者のみならずチームとしてどのように対応していくのかが重要なポイントとなる. そのため, 手術前にはミーティングを開き, 手術手技および意思の統一を図ることによりスムースに導入が可能となると思われる.

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© 2021 日本泌尿器内視鏡学会
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