2017 年 20 巻 1 号 p. 10-17
目的および方法:終末期類似状態の心肺停止(CPA)搬送患者の実態を明らかにするため,平成22年4 月より2年間の当院救命救急センターへの全CPA搬送例のうち,終末期類似状態であった患者を後方視的に検討した。結果:334例のCPA搬送者のうち終末期類似状態であった患者は43例(12.9%)であった。高齢者福祉施設や訪問看護師からの要請は21例,自宅からの要請は22例であった。事前にdo not attempt resuscitation(DNAR)表明があったのは16例(37.2%)のみで,8例は施設や訪問看護師からの要請であったが,CPA時にDNARであることを施設職員や看護師が把握していた例はなく,いずれも救急隊に通知されていなかった。11例では自己心拍が再開し,8例が入院したが,最長生存は9日であった。結語:施設入所時や訪問看護導入時には看取りについて協議し,急変時には近医の往診を依頼する病診連携の構築が必要である。