抄録
本研究は,教員の校長への信頼感の形成,信頼感の損失の要因を計量テキスト分析によって抽出し,その関係性を構造的に明らかにすることを目的とする.校長への信頼感の要因としては「授業や学級経営等に対する適切なアドバイス」「教員を全面的に支える」をはじめとする8要因,信頼感を損なう要因としては「クレーム対応・教員を守れない」「高圧的な言動」をはじめとする8要因が抽出された.これらの中には,信頼形成,信頼損失の一方向にしか効果をもたない単一方向性の要因と,双方に連関する両極性の要因(4組)が見出された.単一方向性の要因が日常における経営行動の蓄積によって醸成されるものであるのに対し,双方に連関する両極性の4組の要因は,問題の生起時や教員が行き詰まりを感じた危機的場面での経営行動であることが確認された.具体的には,生起した問題に対して,校長として「責任を取れるか」,「教員を守れるか」等であった.