Japanese Journal of Endourology and Robotics
Online ISSN : 2436-875X
特集1 : VURに対する注入療法の現況
私 (当施設) の注入療法, このように行っている. その工夫.
西 盛宏郷原 絢子下木原 航太山崎 雄一郎
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2022 年 35 巻 1 号 p. 19-22

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抄録

 原発性膀胱尿管逆流症 (VUR) に対するデフラックス注入療法は本邦において2010年10月に保険収載され原発性VURの外科的治療の第一選択として推奨されている.

 当院では2011年3月より同治療を開始し, 現在まで48例73尿管に対して施行した. VUR grade別の治療成功率 (VURの消失, もしくはGr1以下への改善) はGrade IVが57%, grade IIIが75%, Grade IIが83%でありGrade Iに対しては全例VURの消失が得られ, これは既知の報告とほぼ同様の結果であった.

 当院でのデフラックス注入療法は現在日帰りを基本としてHIT+STING法でおこなっている. 初回治療不成功例もしくは経過中再発例の二次治療について, 開腹や気膀胱手術の観血的治療を選択する割合が高く, 注入時には特にデフラックスが膀胱外へ迷入しないよう注意している. そのため膨隆部と尿管の全体像が確認できるよう, また注入の際の針のブレを最小限となるよう, 針は尿管口から離れた部位に穿刺し, 粘膜下を長く通して注入するようにしている.

 当院での対象症例51例中1例 (1尿管) に術後10カ月で水腎水尿管を認め, デフラックスによる尿管狭窄が疑われた. 本症例は術前, また術後7カ月時までは水腎水尿管を認めず, 術後VCUGでVURの消失が得られた症例であった. 既知の報告ではデフラックス治療後の尿管狭窄は術直後から術後5年程度まで生じる可能性があり, さらに狭窄症状に乏しく発見時にはすでに腎機能障害を呈している症例が多いとされる. このことからデフラックス治療後はこまめな腎形態精査を長期にわたり継続する必要があると考えられる.

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© 2022 一般社団法人 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
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