日本食品工学会誌
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技術論文
微酸性電解水の有効塩素濃度とpHに及ぼす電解電圧の影響
飯塚 泰弘各務 正樹安藤 泰二菊地 基和
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2009 年 10 巻 4 号 p. 223-230

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抄録

希塩酸を電気分解することにより生成する微酸性電解水は種々の微生物に対して殺菌効果を有しており,洗浄や殺菌などの幅広い用途に利用されている.所定の有効塩素濃度やpHへの調整を行うには,これらに及ぼす操作因子の影響を定量的に評価することが重要である.本報文では,電気分解反応を支配する重要な因子の1つと考えられる電解電圧の影響を検討するため,電気分解に関与しない短絡電流の存在および電解槽内の電圧収支を考慮して前報のモデルを修正し,実験結果に適用した.本モデルの計算結果は,極間電圧が1.7 V以下では電圧の増大に伴い電流効率が急激に増加する実験結果の傾向を表現できた.また,電圧の減少に伴いpHが低下する様子も概ね表現できた.種々の条件における塩酸消費量を推算することも可能であった.そして,本モデルを利用して原水硬度が高いあるいは低い場合において食品添加物として認可された範囲内にpHを調整する手段を提案した.

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© 2009 一般社団法人 日本食品工学会
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