日本食品工学会誌
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原著論文
D-プシコースの誘電緩和および水分活性
池田 新矢合谷 祥一深田 和宏天羽 優子
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2011 年 12 巻 2 号 p. 67-74

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抄録

希少糖d-プシコースの水和挙動を誘電緩和および水分活性により評価した.時間領域において計測した反射波をフーリエ変換することにより,周波数領域における誘電緩和スペクトルを求めた.得られた誘電緩和スペクトルをCole-Cole式にフィッティングすることにより,誘電緩和時間を算出した.グルコース,フルクトース,d-プシコースおよびスクロース水溶液の誘電緩和時間およびマルトースおよびトレハロースの平均水和数の文献値を用いて,グルコース,フルクトース,d-プシコースおよびスクロースの平均水和数を算出したところ,d-プシコースの平均水和数はフルクトースの平均水和数と一致した.また誘電緩和時間から求められたd-プシコースの平均水和数は,粘度の測定により求められたd-プシコースの平均水和数の文献値とも一致した.
d-プシコースの水分活性の濃度依存性はフルクトースおよびグルコースの水分活性の濃度依存性とほぼ一致した.実験的に求められた水分活性と水和数,さらには糖水溶液中における物質収支を考慮して糖の水和反応の平衡定数を求めたところ,平衡定数の値はグルコース<フルクトース≈ d-プシコース<トレハロース<スクロース<マルトースの順に大きくなった.d-プシコースの水和挙動はフルクトースの水和挙動と類似することが示された.

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© 2011 一般社団法人 日本食品工学会
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