2016 年 17 巻 2 号 p. 51-55
酸素分圧を種々に変化させたガスを用いた通気開放型反応器を用いてアスコルビン酸(AA)酸化反応の速度論定解析を行った.反応速度は零次反応で記述でき,零次反応速度定数は酸素分圧に完全に比例したが,初期AA濃度には全く影響されなかった.反応速度はpHの上昇に伴い上昇,また,EDTAの添加により減少し,このことは,AA酸化反応における微量金属の関与を窺わせた.温度を0℃から70℃まで変化させて活性化エネルギーを求めた結果,62.1kJ/molとなった.一方,ガス通気をしない閉鎖型反応器においては反応速度は一次反応であった.以上の結果に基づいて,AAと分子状酸素との反応を律速段階とする好気条件でのAA酸化反応機構を推定した.