日本食品工学会誌
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CD包接フレーバーは粉末の作成とその徐放特質
吉井 英文
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2004 年 5 巻 2 号 p. 63-69

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抄録

シクロデキストリン (CD) は, デンプンを原料として酵素 (CGTase) により合成されたマルトオリゴ糖であり, グルコース分子がα-1, 4結合した環状構造を形成している.CDは, 環状構造をした分子空洞内が疎水的性質を有している.シクロデキストリンによる疎水性食品成分の分子的包接は, フレーバー, ビタミン, 色素と不飽和脂肪酸含有オイル等の食品成分を物理的と化学的に保蔵安定性を著しく改善する.シクロデキストリンへ疎水性物質を包接させるのに必要な最小加水量が存在すること, 直鎖アルコールが包接促進効果をもつことを明らかにした.湿式混練法による包接複合体の作成法を提案し, 香気物質の散失防止に包接法が有用であることを明らかにした.メントール包接CD溶液の単一液滴乾燥におけるメントール残留率の推算手法を, 選択拡散理論を用いた簡易計算法を提案した.フレーバー包接CD粉体からのフレーバー徐放挙動に及ぼす水蒸気の影響について, Avrami-Erofeevの式から求めた徐放速度定数と水蒸気分圧の相関関係を得た.

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