日本食品工学会誌
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単分散液滴作製のためのマイクロチャネル乳化技術の開発
中嶋 光敏
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2004 年 5 巻 2 号 p. 71-81

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抄録

単結晶シリコン基板を用いて, 微細加工により様々な形状とサイズのマイクロチャネル (MC) アレイが作製された.MCを介して分散相を連続相中に送り込むだけで, エマルションは調製される.顕微ビデオシステムによりリアルタイムで乳化プロセスを観察することが可能である.平板型MCを用いたMC乳化の特性化, 貫通型MCを用いた高生産システムの開発が行われた.酸化により親水化したMC基板を用いることでO/Wエマルションの作製が可能である.シラン化により表面を疎水化したMCを用いることで, W/Oエマルションの作製が可能である.液滴径が3-90μmで, 変動係数が10%以下の単分散のエマルション調製が可能である.乳化はMCのサイズと構造に大きく依存した.ハイスピードカメラを用いた解析により, テラスが重要であり, その構造に基づき流体が出口で歪み不安定化し, その結果界面張力に基づく自発的液滴作製がおこることが示された.長方形状の貫通型MCは効率的乳化にきわめて有効であった.MC乳化を用いた脂質微粒子や高分子微粒子, マイクロカプセルの製造が検討され, その有効性が示された.MC乳化技術は, 食品, 医薬品, 化学産業において発展の可能性は大きい.

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