日本食品工学会誌
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食品の低温加工操作に関する工学的研究
宮脇 長人
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2005 年 6 巻 4 号 p. 221-228

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抄録

水は食品中における圧倒的最大成分であり, したがって, 水の凍結挙動が食品加工操作に及ぼす影響は重要である.凍結食品の熱伝導度は強い温度依存性があり, このことを説明する伝熱モデルとして, 氷結晶を分散相とするMaxwell-Euckenモデルにより冷凍食品の有効熱伝導度が良好に記述できる.凍結食品における氷結晶成長は水の拡散律速になるため, 氷結晶大きさは凍結界面進行速度に逆比例する.生細胞の凍結保存においては, 原形質膜の水透過係数が細胞の凍結耐性に大きく影響し, 植物細胞はこの値が, 動物細胞, 微生物細胞に比べてはるかに小さい.このため, 一般に植物細胞は凍結によって膜構造が破壊されやすく, このことを利用して野菜, 果物などの植物性厨芥の廃棄物処理が可能となる.系内に唯1個の巨大氷結晶を生成させる界面前進凍結濃縮法は, 従来法の懸濁結晶法と比較して, システムがはるかに単純化するため, 凍結濃縮法のコストを大幅に低下できる可能性がある.

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