日本食品工学会誌
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脂質2成分混合液体からの結晶析出挙動と平衡凝固点
玉置 亮川井 清司ビリヤラッタナサク チョティカ君塚 道史鈴木 徹
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2005 年 6 巻 4 号 p. 253-258

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抄録

バルク状態およびO/Wエマルション状態における脂質2成分混合系の結晶化・融解挙動について検討を行った.組成比が同じであれば, エマルション状態下の結晶化開始温度の方がバルク状態下におけるものよりもはるかに低いことが観察された.また, 共存物質により着目成分の融点が降下することが確認されると同時に, 結晶化開始温度も同様に低下する現象が認められた.この低下の度合いは, 融点・結晶化開始温度ともに組成の対数に対して直線的であり, さらに融点と結晶化開始温度の間にも1次の相関があることが認められた.この相関はこれまで水溶液系について報告されてきたが, 脂質成分にも観察されることが明らかとなり, 本研究結果は過冷却や結晶化といった現象をより詳細に理解するひとつの手がかりとなると考えられる.

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