日本食品工学会誌
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解離平衡に基づく微酸性電解水の有効塩素濃度とpHの解析
飯塚 泰弘安藤 泰二菊地 基和
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2007 年 8 巻 2 号 p. 89-96

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抄録

希塩酸を電気分解することにより生成する微酸性電解水は種々の微生物に対して殺菌効果を有しており, 洗浄や殺菌などの幅広い用途に利用されている.所定の有効塩素濃度やpHへの調整を行うには, これらに及ぼす操作因子の影響を定量的に評価することが重要である.本報文では, 電解槽内の電気化学反応に加えて, 炭酸カルシウムや次亜塩素酸などの微酸性電解水中の各成分に関する解離平衡を考慮し, 製造される微酸性電解水の有効塩素濃度とpHを予測可能なモデルの構築を試みた.本モデルの計算結果は, 実験結果において有効塩素濃度の増加に伴いpHが減少する様子, および希釈水供給流量の増加に伴いpHが低下する様子を表現できた.また, 電解液のpHは0.5以下と推算され, 発生した塩素ガスは電解液に溶解しないとした仮定と一致した.本モデルは異なる硬度の原水を用いて製造した微酸性電解水の有効塩素濃度とpHの関係も予測可能であった.

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