日本食品工学会誌
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ホップ水抽出物のI型アレルギー抑制作用
瀬川 修一高田 善浩栗原 利夫金子 隆史金田 弘挙渡 淳二
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2007 年 8 巻 4 号 p. 239-247

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抄録

ヒト好塩基球様KU812細胞からのヒスタミン遊離抑制を指標としてホップ抽出物のアレルギー抑制作用を評価した.ホップの抽出法によりヒスタミン遊離抑制活性には大きな差異が認められ, 水抽出物に強い活性が認められたが, 熱水抽出物およびクロロホルムーメタノール抽出物には活性が認められなかった.ホップ水抽出物を吸着樹脂 (XAD4) により分画したところ, 50%メタノール溶出画分に強い活性が認められ, ケルセチン配糖体およびケンフェロール配糖体が同定された.これらフラボノールのうち, ケルセチンに強いヒスタミン遊離抑制活性が認められた.in vitroでのヒスタミン遊離抑制作用が認められたホップ水抽出物について, 動物実験にてそのI型アレルギー抑制効果を検討した.コンパウンド48/80刺激によるICRマウス背部皮膚へのエバンスブルー漏出量, オボアルブミン (OVA) 感作BALB/cマウスからの抗原刺激によるヒスタミン遊離量からホップ水抽出物のアレルギー抑制作用を評価した.その結果, ホップ水抽出物の経口投与により血管透過性亢進およびヒスタミン遊離は有意に抑制された.しかしながら, その経口投与は免疫グロブリンE産生には影響を及ぼさなかった.これらの結果から, HWEはマスト細胞, 好塩基球からのケミカルメディエーターの遊離を抑制することで1型アレルギー抑制効果を発揮することが示唆された.

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