日本食品工学会誌
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大豆グロブリンの脱アミド化に伴う親水性の向上とゲル化特性の変化
嶋崎 恵里子佐野 友子熊谷 日登美桜井 英敏熊谷 仁
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2008 年 9 巻 1 号 p. 67-73

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抄録

陽イオン交換樹脂を用いた脱アミド化は, ペプチド結合の加水分解を引き起こすことなく, タンパク質の機能改質に有望な方法である.本研究では, フィチン酸除去後, 大豆グロブリンをカルボキシレートタイプの陽イオン交換樹脂によって脱アミド化した.フィチン酸除去脱アミド化大豆グロブリン (PrDS) の加熱ゲルの特性を, フィチン酸除去大豆グロブリン (PrS) および未処理大豆グロブリン (US) の加熱ゲルと比較した.大豆グロブリンの水との親和性はパルスNMR測定から得られたパラメータによって評価した.さらに, 大豆グロブリンの変性温度をDSCにより決定した.
加熱ゲルの保水性は, PrDS, PrS, USの1頂に良好であった.パルスNMR測定から, USの結合水量は含水率に関係なくほぼ一定であった.パルスNMR測定から得られた結合水の相関時間τbによると, 大豆グロブリンの水との親和性は脱アミド化により向上し, PrDSの保水性が良好になったと推測された.しかしながら, 結合水量は, フィチン酸除去や脱アミド化によって減少した.DSC測定によると, フィチン酸除去や脱アミド化によって大豆グロブリンの変性温度はわずかに上昇することが示された.

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