日本食品微生物学会雑誌
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原著
食品からの改良サルモネラ検出法の検討と鶏挽肉および未殺菌液卵でのその評価
宮原 美知子田口 真澄久米田 裕子神吉 政史郡司 明博森田 友美太田 順司高山 正彦高須 一重木股 裕子塚本 定三
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2009 年 26 巻 2 号 p. 107-113

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抄録

サルモネラは重要な食中毒原因菌の一つである.しかし,わが国では食品からのサルモネラ試験法は食品区分ごとにその成分規格ならびに試験法が決められた経緯があるため,3方法が存在する.そのため,どの区分の食品にも適応しうる新しい試験法を検討した.
まず,硫化水素産生と非産生の2種類のサルモネラを用い,食肉製品に接種して検出感度を検討した.硫化水素産生性のサルモネラでは3個,硫化水素非産生株の接種実験では7個の接種で検出可能であった.
次に,本試験法を用いて鶏挽肉および未殺菌液卵のサルモネラ汚染調査を行った.その結果,本試験法が鶏挽肉や液卵のサルモネラ検査に有用であること,さらに少数のサルモネラ検出にも適切であることを確認した.検出したサルモネラ血清型は鶏挽肉ではS. Infantis,未殺菌液卵では S. Enteritidis が主であった.PCRなど遺伝子検査法をBPW増菌後に行うと,培養法でのサルモネラ検出結果との一致率は鶏挽肉では68.6~82.2%であり,未殺菌液卵では100%であった.液卵検体では,BPW増菌培養液のPCRなど遺伝子検査により,サルモネラ汚染の予測が可能である.日本ではサルモネラ食中毒事例から分離される血清型の首位はS. Enteritidisで,卵およびその加工品が原因推定食品となることが多い.特に液卵のサルモネラ汚染実態については,今後も調査を継続する必要があると思われる.
提案した改良サルモネラ検出法は食品中の少数サルモネラ検出にも有用であると思われる.

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© 2009 日本食品微生物学会
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