1986 年 3 巻 2 号 p. 101-108
新しく指定された淡水性の食中毒菌であるAeromonasとPlesiomonasについて1985年, 広島県芦田川を中心に生態調査を行い, 次の結果を得た.
1) 運動性Aeromonasは河川において年間を通して (10~102/ml) 分布しており, 従属栄養細菌の主要フローラであったのに対し, 海水や藻類の増殖がみられる河口湖では低い菌数であった.
2) 河川上流では菌種別にみるとA. sobriaが優勢で, 徐々にA. hydrophila, A. caviaeも増加した. とくに, 生活排水を含む小河川および海水でA. caviae, 河口湖ではA. sobriaが優勢であった.
3) P. shigelloiedsの菌数は河川においては夏季に多くみられ (1~10/ml), 地点間で大きな差はみられなかった.
4) A. hydrophila, A. sobriaでは溶血性を示す株が多く分離された. これは, VP, グルコン酸酸化, ガス産生陽性の各性状と相関がみられた.
5) 分離培地として, 運動性Aeromonasはmodified-PXA寒天培地, P. shigelloidesはmodified-SS寒天培地を用いて良好な結果を得た.