食品と微生物
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食肉販売店舗での食肉のSalmonella汚染経路の解明
保科 健福島 博中村 令伊藤 義広五明田 学
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1986 年 3 巻 2 号 p. 129-133

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抄録

食肉販売店舗における食肉中のSalmonellaの汚染経路を解明する目的で汚染状況を調査し, 次の結果を得た.
1) 鶏肉は牛・豚と比較しSalmonellaの検出率が高く, 又, Salmonella数も多かった.
2) 同一食肉販売店舗で同時期に複数の肉種から同一血清型が検出されたことは, 鶏肉と牛・豚肉の流通経路が異なっていること, その時の鶏肉のSalmonella数が牛・豚肉より多かったこと, 鶏に検出率の高い血清型S. subsp. (2) 4, 12: b: -株を牛・豚肉からも検出したことより, 鶏肉を汚染源とした肉種間への汚染が食肉販売店舗内で起こっていると推察された. 店舗別では, 小型店舗も大型店舗も鶏肉からの検出率は変わらないが, 小型店舗の牛・豚肉からのSalmonelloの検出率が高いことから, 鶏肉を汚染源とした肉種間への汚染が小型店舗では高頻度に起こっていると推察された. 又, その時期は牛・豚肉からのSalmonellaの検出数やSalmonellaの汚染菌量が夏期に多いことから, 温暖な時期に多く起こっていることが示唆された.
3) 鶏肉のSalmonellaは年間を通して検出されたが, 牛・豚肉では温暖な時期に多数認あた.
4) 食肉から分離されたSalmonellaのうち, 高頻度に検出された血清型はS. typhimurium, S. derby, S. london, S. infantisであった.

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© 食品衛生微生物研究会
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