魚病研究
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短報
コノシロ病魚から分離されたVibrio harveyiの性状
永井 崇裕
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2016 年 51 巻 2 号 p. 67-69

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抄録

 2007年秋に広島市の太田川河口域で大量死亡したコノシロの死因を細菌学的に検討した。瀕死のコノシロの腎臓や脳から短桿菌が純培養状に分離された。分離菌の生理・生化学的性状および一部の塩基配列の解析から,分離菌はV. harveyiに同定された。V. harveyiは魚介類病原菌として数多くの記載があるが,コノシロからは初めての分離例である。分離菌のアユ,アマゴおよびマダイに対する病原性を腹腔内注射感染で調べたところ,アユやアマゴでは 6.8×102 CFU/fish接種で病原性が確認された。一方,マダイに対する病原性はアユやアマゴよりもかなり低かった。瀕死魚から魚類に病原性を持つV. harveyiが分離されたことから,コノシロの大量死の一因として本菌の感染が示唆された。

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© 2016 日本魚病学会
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